
採用ページを整えているのに、応募が思うように増えない。
応募は来ても、面接で「イメージと違う」と感じる。
こうした悩みは、募集要項の不足だけでなく、職場の雰囲気や仕事の進め方が伝わりきっていないことが一因になっている場合があります。
厚生労働省は、求職者と企業のミスマッチ解消の観点から、職場情報の適切な提供の重要性を示しています。職場情報の提供は、早期離職の防止や人手不足の解消にも寄与すると整理されています。
その中で、採用ページに動画を組み合わせる方法は、文章や写真だけでは伝わりにくい情報を補う手段として検討されやすい施策です。
ただし、動画を載せるだけで応募が増えると断定できるものではありません。大切なのは、採用ページ全体の設計の中で、応募者の判断材料を増やせているかどうかです。
この記事では、「採用ページ×動画」を、採用広報・採用ページ改善の一部として整理し、応募判断の後押しやミスマッチ防止に活かしやすい進め方を解説します。
なぜ「採用ページ×動画」が検討されるのか
求職者が見ているのは募集要項だけではない
仕事内容、給与、勤務地、勤務時間、休日。
これらは応募判断の基本ですが、実際の求職者はそれ以外の情報も見ています。
たとえば、次のような点です。
- 現場の雰囲気は落ち着いているか、スピード感があるか
- 上司や同僚との距離感は近いか
- 仕事の進め方は個人戦か、チーム戦か
- 入社後に何を期待されるか
- 自分が働くイメージを持てるか
厚労省の事例集でも、求職者への情報開示は「採用直後の労働条件・キャリア」だけでなく、「将来の労働条件・キャリア」まで含めて重要性が示されています。情報を多く開示している企業ほど、労働者のパフォーマンスが高い傾向が示された旨も紹介されています。
動画は“空気感”の伝達に向いている
動画の価値は、情報量そのものより、文字では伝えにくい要素を見せられる点にあります。Indeed Japanの採用向け解説でも、採用動画の強みとしてノンバーバル(非言語)情報の伝達が挙げられています。
見られているのは、たとえば次のような要素です。
- 話す人の表情や間
- 会話のテンポ
- 現場の整い方
- チームのやり取りの温度感
- 働く人の自然な雰囲気
つまり、会社の雰囲気を伝える動画として機能させるなら、台本の美しさよりも、どの場面をどう見せるかが重要になります。
ただし、動画単体で成果を断定しないほうがよい理由
ここは実務上の重要ポイントです。
採用動画は有効に働く可能性がありますが、応募数・応募の質の改善を動画だけの効果として断定するのは避けたほうが正確です。
理由は、採用成果が以下の複数要因で決まるからです。
- 募集職種の市場状況
- 給与・条件
- 採用ページの導線
- 求人票の内容
- 企業認知
- 選考スピード
- 面接体験
動画はその中の一要素です。
だからこそ、採用ページ改善の一部として設計・検証する視点が必要になります。
採用ページで見せるべき「会社の空気」とは
会社の空気を3つに分けて考える
「会社の空気」は抽象的ですが、採用ページでは分解すると扱いやすくなります。
1. 人の空気(誰と働くか)
- 会話のテンポ
- 上司・同僚の接し方
- 相談しやすさ
- フィードバックの雰囲気
2. 仕事の空気(どう働くか)
- 個人で進める場面 / チームで進める場面
- 現場のスピード感
- 打ち合わせや報連相の実際
- 仕事の責任範囲
3. 場の空気(どんな環境か)
- オフィスや現場の様子
- 整理整頓・設備の状態
- 対面/オンラインの比率感
- 働く動線のイメージ
この3つを意識すると、「会社紹介動画」から一歩進んだ、応募者の判断に役立つ採用動画にしやすくなります。
魅力だけでなく判断材料も示す
採用広報では、魅力訴求だけに寄せたくなりがちです。
しかし、ミスマッチ防止まで考えるなら、判断材料の提供も必要です。
見せる価値が高い情報(例)
- 仕事のやりがい
- チームの支え方
- 成長機会
- 入社後の期待役割
- 評価の考え方(言える範囲で)
あえて曖昧にしないほうがよい情報(例)
- 忙しい時期の有無
- 主体性が求められる度合い
- 覚えることの多さ
- 向いている人 / 向きにくい人の傾向
厚労省の職場情報提供の考え方でも、ミスマッチ防止の観点から、配属予定部署や担当予定チーム単位の情報が望ましいとされる整理があります。
この考え方は、採用動画の設計にも応用しやすいです。
採用ミスマッチを防ぎやすい見せ方
ミスマッチを減らすには、動画で“良く見せる”より、働く判断がしやすい見せ方を意識します。
実務で使いやすいポイント
- 抽象語だけで終わらせない
(「風通しが良い」→ 実際の打ち合わせシーン) - 1人の声だけで語らない
(現場・管理職・経営層で視点を分ける) - 完成度より自然さを優先する場面を作る
(過度な演出より、自然な会話・手元・動線)
応募者にとって役立つのは、きれいな映像より、働く自分を想像しやすい映像です。
応募判断を後押ししやすい採用動画の作り方
先に決めるのは「誰に応募してほしいか」
採用動画の企画で失敗しやすいのは、「何を撮るか」から始めることです。
先に決めたいのは、誰に応募してほしいかです。
整理しておきたい項目
- 募集職種(営業、制作、事務、技術など)
- 採用区分(中途 / 新卒 / パート等)
- 現在の課題(応募数不足 / 質不足 / 辞退率 / ミスマッチ)
- 伝えたい強み
- 誤解されやすい点
ここが曖昧だと、完成した動画が採用ページ改善に繋がりにくくなります。
採用動画の構成例(短尺・中尺)
Indeed Japanの解説では、活用先が複数あること、まずは1分ほどの短尺から始める考え方も紹介されています。
そのため、実務では「1本で全部説明する」より、目的別に分ける構成が扱いやすいことがあります。
短尺(30〜90秒)向き
用途:ページ冒頭、SNS流入後の第一印象づくり
構成例
- 会社・仕事の雰囲気カット
- 働く人の一言(短く)
- 求める人物像のヒント
- 詳細情報への導線
中尺(2〜5分)向き
用途:応募前の比較検討、面接前の理解促進
構成例
- 会社紹介(何をしている会社か)
- 現場の仕事風景
- 社員インタビュー(複数)
- 仕事の進め方・期待役割
- 応募者へのメッセージ
※これはあくまで一般的な構成例です。職種や採用フェーズに応じて調整してください。
撮るべきカットと質問例
採用動画の説得力は、コメントより先に現場の映像で決まることが少なくありません。
撮るべきカット例
- 朝の準備〜始業の流れ
- 打ち合わせ風景
- 作業・制作・営業現場の手元
- 社員同士の相談シーン
- 休憩時の自然な会話
- オフィス/現場の全景
- 設備・作業環境
- 1日の流れがわかる断片
インタビュー質問例(具体が出やすい)
- 入社前後でギャップはありましたか?
- この会社らしいと感じる場面は?
- どんな人だと働きやすいですか?
- 仕事で難しい点と、その乗り越え方は?
- 1日の中で大事にしていることは?
コツは、「会社の魅力を話してください」ではなく、具体的な場面を聞くことです。
失敗しやすい採用動画の特徴
採用動画がうまく機能しにくい例には、次のような傾向があります。
- 企業PR寄りで、求職者の知りたい情報が少ない
- 社長メッセージ中心で現場が見えない
- 映像はきれいだが、仕事内容が分からない
- 動画と募集要項のトーンがズレている
- 採用ページに載せた後の導線設計がない
動画の完成度だけで評価せず、採用ページ全体の体験の中で機能しているかで見るのが実務的です。
採用ページでの動画活用方法
どこに置くと見られやすいか(一般的な考え方)
「採用ページに動画を載せたのに、見られていない」というケースはあります。
このとき、原因は動画の内容ではなく、配置であることも少なくありません。
一般的に見直しやすい配置ポイント
- ファーストビュー直下:第一印象を補強(短尺向き)
- 仕事内容の説明近く:仕事理解を補助
- 社員紹介の近く:人物理解を補助
- 応募ボタンの手前:不安解消を後押し
ただし、最適配置はサイト構成や流入経路で変わります。
アクセス解析やページ内の行動を見ながら調整する前提が現実的です。
動画と一緒に見直したい採用ページ改善項目
動画を入れても、採用ページ全体が分かりにくければ成果は出にくくなります。
あわせて見直したい項目は次の通りです。
- 募集職種ごとの情報の分かりやすさ
- 仕事内容の具体性
- 勤務条件の明確さ
- 選考フローの説明
- 応募ボタンの位置・数
- スマホでの見やすさ
- 表示速度(重すぎないか)
厚労省の職場情報提供の考え方とも重なりますが、求職者は「会社の雰囲気」だけでなく、労働条件・キャリア見通し・環境情報も求めます。
動画はそれを補完する手段として位置づけると、ページ設計がブレにくくなります。
中途採用ページ・新卒採用ページでの使い分け
同じ会社でも、中途採用と新卒採用では、応募者が重視する情報が異なることがあります。
中途採用で重視されやすい点
- 任される役割
- 現場の裁量
- 期待値
- 入社後の立ち上がり
新卒採用で重視されやすい点
- 教育・フォロー体制
- 先輩との関係性
- 仕事の基本的な流れ
- 成長イメージ
1本を共用すること自体は可能ですが、説明テキストや補足動画を組み合わせるほうが、意図に合わせやすい場合があります。
成果につなげる運用のポイント
公開して終わりにしない改善の見方
採用動画は、公開した時点で終わりではありません。
採用施策としては、そこから検証が始まります。
見直しポイントの例
- 動画が再生されているか
- どこで離脱しやすいか
- 応募ボタンまで到達しているか
- 応募フォーム送信率
- 面接での反応(動画を見たうえで会話できているか)
数字だけでなく、採用担当者・面接官の感触も改善材料になります。
応募数だけで判断しない指標
「応募数が増えたか」だけを見ると、施策の良し悪しを誤ることがあります。
採用ページ×動画では、途中指標も見たほうが判断しやすいです。
見たい指標の例(一般的)
- 採用ページ滞在時間
- 動画再生率
- 応募ボタンのクリック率
- 応募完了率
- 書類通過率
- 面接辞退率
- 内定承諾率(中長期)
厚労省の事例集でも、情報開示の取り組みは、採用だけでなく活躍や定着の観点と合わせて見る重要性が示唆されます。
社内協力を得やすくする進め方
採用動画は、採用担当だけで完結しにくい施策です。
現場、管理職、経営層の協力が必要になるため、進め方が成否を左右します。
社内で通しやすい進め方
- 目的を「動画制作」ではなく「採用ページ改善」に置く
- 撮影範囲と所要時間を先に示す
- インタビュー質問を事前共有する
- 公開先(採用ページ、説明会、SNS等)を明示する
- 1本目で完璧を目指しすぎない
よくある誤解と失敗例
「かっこいい動画なら応募が増える」はズレやすい
映像の品質は大切ですが、採用では“かっこよさ”だけで応募が増えるとは限りません。
特に、仕事内容の理解や職場の雰囲気が応募判断に影響しやすい職種では、演出の強さより、具体性や信頼感が優先される場合があります。
「社長メッセージだけ」で終わると弱い理由
経営者の想いは重要です。
ただ、それだけだと応募者が知りたい「一緒に働く人」「日常の仕事」が見えにくくなります。
社長メッセージを使うなら、
- 現場映像
- 社員インタビュー
- 実際の仕事風景
と組み合わせるほうが、採用ページ上では機能しやすくなります。
「動画を作ったのに採用ページはそのまま」の落とし穴
動画だけを新しくしても、募集要項や導線が分かりにくいままだと、成果につながりにくいことがあります。
動画は強い素材ですが、配置・説明文・応募導線と連動してはじめて活きやすくなります。
よくある質問
Q1. 採用ページに動画を入れると、本当に応募は増えますか?
ケースによります。動画を追加しただけで応募増を断定することはできません。
ただし、会社の雰囲気や仕事の実際が伝わりにくいことが課題になっている場合は、応募判断の後押しに繋がる可能性があります。ページ構成や求人条件とあわせて見るのが現実的です。
Q2. 採用動画は長尺と短尺、どちらがいいですか?
目的次第です。Indeed Japanの解説でも、まず短尺から始める考え方が示されています。
第一印象づくりには短尺、応募前の理解促進には中尺が使いやすいことがあります。
Q3. 何を撮れば「会社の空気」が伝わりやすいですか?
インタビューだけでなく、働く場面・会話の場面・日常の流れを映すと伝わりやすくなります。
オフィス/現場の全景、打ち合わせ、相談の様子、手元作業など、抽象表現を具体化できるカットが有効です。
Q4. 採用ミスマッチを防ぐには、動画でどこまで見せるべきですか?
魅力だけでなく、仕事の難しさや求める姿勢も、表現を工夫して伝えるほうがミスマッチ防止に役立つ場合があります。
「向いている人・向きにくい人の傾向」を丁寧に示すのも有効です。
Q5. 採用動画の制作を外注する前に準備しておくことはありますか?
あります。募集職種、採用課題、伝えたい強み、誤解されやすい点、掲載予定ページは先に整理しておくと、企画・撮影・公開後の検証まで進めやすくなります。
まとめ
「採用ページ×動画」は、動画そのものが採用成果を保証する施策ではありません。
一方で、文章や写真だけでは伝わりにくい職場情報を補い、応募判断を助ける手段としては有効に働く可能性があります。
厚生労働省が示す職場情報提供の考え方にもあるように、ミスマッチ解消には、労働条件だけでなく、業務内容や職場環境、将来の見通しなどを適切に伝えることが重要です。
採用動画は、その情報を“見える化”する補完手段として位置づけると活かしやすくなります。
大切なのは、動画を作ること自体ではなく、採用ページ全体の中で、応募者の判断材料を増やせているかです。
この視点で設計・配置・検証まで行うと、応募数だけでなく、応募の質やミスマッチ防止の観点でも改善を進めやすくなります。
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