
新年度は、広報・採用・営業の発信が一気に増える季節です。ところが現場では「撮影が追いつかない」「ネタが枯れる」「編集が毎回しんどい」で、SNSやYouTubeが止まりがちになります。
この問題は、企画力より前に“素材の仕組み”で解決できます。
本記事では「新年度の広報を楽にする:動画素材の“撮り溜め”設計」として、まとめ撮りの段取り、年間で使い回せるショットリスト、縦/横展開、素材管理・命名、同意/権利処理、編集テンプレまで、内製が続く形で整理します。
なぜ新年度に“撮り溜め設計”が効くのか
つまずきの本質は「企画」より「素材と運用」
動画が止まる原因は「面白い企画がない」より、もっと現実的です。
- 撮影がバラバラで素材が揃わない
- 編集が毎回ゼロからで時間が溶ける
- 投稿が属人化して続かない
撮り溜め設計は、この3つをまとめて解消します。
本記事の位置づけ:撮り溜めはベストプラクティス(体制で調整)
ここで紹介するショットリストやテンプレ、命名ルールは、内製を継続しやすくするための実務上のベストプラクティスです。
体制・業種・媒体によって最適解は変わるため、自社の運用に合わせて調整してください。
まず結論:撮り溜め設計の全体像(1枚で分かる)
①目的(広報/採用/営業)→②素材→③編集テンプレ→④投稿計画→⑤計測
撮り溜めを成功させる順番はこれです。
「何を撮るか」より先に「何に使うか(目的)」を固定します。
- 広報:会社の活動・雰囲気・文化
- 採用:人・働き方・価値観
- 営業:サービスの理解・事例・安心材料
成果が出る会社ほど「素材の再利用ルール」がある
撮り溜め素材は“使い回して良い”前提で設計します。
一度の撮影で、ショート10本・YouTube1本・採用1本に展開できるようにするのが理想です。
撮り溜め前に決める3つ:目的・媒体・型
媒体別に必要な尺と比率(縦/横)
最初に決めるのは「比率」です。
- 縦:ショート/リール中心(顔・手元が強い)
- 横:会社紹介・採用・解説(情報量が載る)
撮影時点で“縦も横も取れる構図”にすると、後が楽です(引きの横+寄りの縦)。
“型”を先に決める(オープニング/字幕/CTAのテンプレ)
型がないと、編集で迷います。最初にテンプレを決めます。
- オープニング:3秒で結論
- 字幕:1行を短く、固有名詞は必ず
- CTA:最後は1つに絞る(資料請求/問い合わせ等)
KPI(再生/保存/クリック/問い合わせ)を最低限で揃える
最初から複雑にしないのがコツです。
- ショート:再生・保存
- LP/採用:クリック・問い合わせ
KPIを1〜2個に絞ると改善が回ります。
年間で使い回せる素材リスト(撮影リスト=ショットリスト)
A:万能Bロール(職場・手元・移動・表情)
Bロールは“全部の動画の土台”です。
- 仕事の手元(PC/工具/接客)
- 会議・打ち合わせ(横顔・頷き)
- 移動(出勤・現場へ)
- 看板・外観・受付
- 笑顔・集中など表情カット
B:人が主役(社員インタビュー/一言コメント/採用向け)
インタビューは尺を短く分割して撮ると使い回せます。
- 「入社理由」
- 「大変だったこと」
- 「やりがい」
- 「向いている人」
各20〜30秒を縦横で撮るのが扱いやすいです。
C:信用の根拠(実績・事例・お客様の声・数字)
“安心材料”は編集で作りにくいので、撮影で集めます。
- 事例のビフォーアフター
- 数字(件数・期間・満足度 ※言える範囲で)
- 受賞・資格・メディア掲載
D:季節と行事(新年度/研修/イベント)
新年度は素材の宝庫です。
- 入社式・研修・歓迎会(雰囲気)
- 社内の掲示物・目標共有
- 新しい取り組みの開始
E:商品・サービス(工程・ビフォーアフター・比較)
“工程”は短尺に向きます。
- 1工程=1本で切れる
- よくある質問に答える形で撮る(後でFAQ化できる)
まとめ撮りの段取り:半日で“1か月分”を作る
当日のタイムテーブル例(撮影→確認→バックアップ)
例)半日(4時間)
- 30分:設営(音・光・構図)
- 60分:インタビュー(3人×各20分)
- 60分:Bロール(職場/手元/移動)
- 30分:実績・事例(写真/現場/資料)
- 30分:その場でプレビュー→不足カット撮り足し
- 30分:バックアップ(クラウド+外付け)
定点撮影(ルーティン)を仕組みにする
月1で同じ構図・同じ場所を撮ると、編集で“変化”を作れます。
例:朝礼、作業開始、受付、外観。定点は“積み上がる資産”です。
スマホでも崩れない最低装備(マイク/ライト)
内製で効くのは派手な機材より“安定装備”。
- ピンマイク(声の品質が一気に上がる)
- 小型ライト(顔色と清潔感)
- 三脚(手ブレと画角固定)
編集を楽にする:テンプレと素材管理の設計
フォルダ設計(媒体×月×素材種)
例)
- 01_Short/2026-04/
- 02_YouTube/2026-04/
- 03_Recruit/2026-04/
- 99_Common/Broll/Interview/Logo/SE/
クリップ命名ルール(探せる・渡せる)
例)
- 202604_Interview_A01_intro_01.mp4
- 202604_Broll_office_hand_03.mp4
- 202604_Service_process_step2_02.mp4
日付×カテゴリ×内容×連番で、探す時間をゼロにします。
編集テンプレ(字幕/テロップ/CTA)を固定して迷いを消す
- 字幕フォントと位置を固定
- オープニング3秒テンプレ
- CTAは最後1つ
テンプレが“制作の歯車”になります。
権利処理で詰まらない:出演同意・BGM・社内ルール
出演同意(社内/社外)を“撮影前”に取る
無断撮影・無断公開は、肖像権/プライバシーの観点で問題になり得ます。
撮影前に、同意範囲を決めておくのが安全です。
- 社内:出演範囲(SNS/採用/広告)
- 社外:お客様・取引先の映り込み確認
BGM/効果音:媒体ごとにルール差がある前提で統一
BGMは“どこで流すか(Instagram/YouTube/広告など)”で扱いが変わるため、媒体別に「使っていい音源の範囲」を決めて統一します。
社内で使うBGMライブラリを固定し、運用事故を減らします。
NG表現・社内情報の取り扱い
- 顧客情報が映る画面
- 契約条件・価格の断定
- 競合比較の強い表現
このあたりは社内ルールで線引きします。
失敗例で学ぶ:撮り溜めが続かない原因
失敗1:撮ったのに使えない(尺/比率/手ブレ)
対策:縦横の“引き/寄り”を必ず撮る。三脚・マイクで土台を固める。
失敗2:素材が探せない(命名・保管)
対策:フォルダ設計と命名ルールを先に決め、撮影当日に整理する。
失敗3:編集が毎回ゼロから(テンプレ不在)
対策:オープニング・字幕・CTAを固定し、編集を“作業化”する。
実務チェックリスト(そのまま使える)
撮影前チェック
- 目的(広報/採用/営業)と媒体(縦/横)を決めた
- ショットリストを印刷 or 共有した
- 出演同意・映り込み確認の段取りを決めた
- マイク・ライト・三脚の準備OK
撮影当日チェック
- 音が取れている(風・反響の確認)
- 引き(横)+寄り(縦)を必ず撮った
- その場でプレビューして撮り足した
- バックアップを2系統取った
編集・投稿チェック
- テンプレ(字幕/CTA)を使った
- 1本1メッセージ(詰め込みすぎない)
- KPIを1〜2個で追う(再生/保存 or クリック/問い合わせ)
よくある質問(FAQ)
Q1. どれくらい撮り溜めすれば1か月回せますか?
ショート中心なら、半日で「インタビュー短尺×数本+Bロール大量」で1か月分を作りやすいです。投稿頻度に合わせて必要本数を逆算してください。
Q2. スマホ撮影でも大丈夫ですか?
ケースによりますが、音(マイク)と光(ライト)を整えるだけで見栄えは大きく改善します。手ブレ対策に三脚もあると安定します。
Q3. Bロールは何を撮れば失敗しませんか?
職場の手元、外観、移動、会議の横顔など“どの動画にも挿せる素材”から撮るのが安全です。迷ったら「手元と表情」を優先すると使い回せます。
Q4. 社員インタビューが苦手です。どう撮ればいい?
質問を4つに固定し、各20〜30秒で区切って撮ると編集が楽です。言い直しOKの空気を作り、答えの最初に結論を言ってもらうと短尺化しやすいです。
Q5. 権利処理で一番気をつけるポイントは?
出演同意(社内/社外)とBGMです。撮影前に同意範囲を決め、使用するBGMは媒体別に“使っていい音源”へ統一すると事故が減ります。
まとめ
新年度の広報を楽にする近道は、企画をひねることではなく、動画素材の“撮り溜め”設計を先に作ることです。
目的→素材→テンプレ→投稿→計測の順に整えれば、撮影は半日でも“1か月分”が回り、縦動画・横動画・採用・営業へ展開しやすくなります。
映像制作にお困りの方は広島動画制作.comまでお問い合わせください

