
動画の印象は映像だけでなく“音”でも変わる
店舗紹介動画や企業PR動画を作るとき、多くの人はカメラ映り、照明、構図、テロップ、編集テンポに意識が向きます。しかし、実際に動画の見やすさを左右する大きな要素の一つが「音」です。
どれだけ映像がきれいでも、話している声が聞き取りにくい、空調音が大きい、店内BGMとナレーションが重なっている、風の音で内容が分からない、といった状態では視聴者が離脱しやすくなります。
特に、インタビュー動画、採用動画、店舗紹介動画、サービス紹介動画、YouTube動画では、話している内容が伝わるかどうかが重要です。映像は後から差し替えや調整がしやすい場合もありますが、音声は収録時の状態が悪いと編集で補いきれないことがあります。
動画制作では、撮影前に音の環境を確認しておくことが大切です。この記事では、店舗・企業動画で失敗しやすい音と、収録前に見直したいポイントを実務目線で解説します。
店舗・企業動画で失敗しやすい音
音声の失敗は、専門機材がないから起こるとは限りません。店舗やオフィス、工場、屋外など、普段は気にならない音が動画では大きく聞こえることがあります。
まずは、店舗・企業動画でよくある音の失敗を整理しておきましょう。
1. 空調・冷蔵庫・機械音などの環境音
店舗やオフィスで多いのが、空調、冷蔵庫、換気扇、パソコン、プリンター、厨房機器、機械音などの環境音です。現場にいると慣れてしまい気づきにくい音でも、マイクには大きく入ることがあります。
特に、インタビューやナレーション風の説明を撮る場合、背景の低い音がずっと入っていると、声が聞き取りにくくなります。飲食店では冷蔵庫や製氷機、美容室ではドライヤー、工場では機械の稼働音、オフィスでは空調やキーボード音が目立つことがあります。
撮影前には、数十秒だけでもテスト収録を行い、実際にイヤホンで確認すると気づきやすくなります。
2. 店内BGMや館内放送
店舗紹介動画では、店内BGMが雰囲気づくりに役立つことがあります。しかし、インタビューや説明の収録時にBGMが流れていると、声と重なって聞き取りにくくなる場合があります。
また、BGMには権利の確認も必要です。店内で流れている音楽がそのまま動画に入ると、Webサイト、YouTube、SNS、広告で公開する際に問題になる可能性があります。
収録時は、可能であれば店内BGMを止める、音量を下げる、営業時間外に撮影するなどの対応を検討しましょう。雰囲気として音楽を入れたい場合は、編集時に利用範囲を確認したBGMを入れる方が管理しやすくなります。
3. 反響しやすい部屋
会議室、空き店舗、広いホール、ガラスやコンクリートが多い空間では、声が反響しやすくなります。反響が強いと、話している内容がぼやけて聞こえ、視聴者にとって疲れる音になります。
インタビュー撮影では、見た目がきれいな場所でも、音が響きやすい場合があります。壁が硬い、天井が高い、床がタイルやコンクリート、家具が少ない部屋では注意が必要です。
反響を抑えるには、カーテンや布、家具がある場所を選ぶ、話し手との距離を近づける、マイクを適切な位置に置くなどの工夫が有効です。
4. 話し手ごとの声量差
企業動画や採用動画では、複数人が話すことがあります。このとき、話し手ごとの声量差が大きいと、編集時に調整が必要になります。
たとえば、代表者の声は大きいが社員の声が小さい、インタビュアーの声は近いが回答者の声が遠い、座る位置によってマイクとの距離が変わる、といったケースです。
複数人を撮影する場合は、誰の声を主に聞かせるのかを決め、マイク位置を調整することが大切です。座談会形式の場合は、1本のマイクで全員を拾おうとせず、収録方法を事前に相談しましょう。
5. 屋外の風・車・人の声
屋外撮影では、風の音、車の走行音、電車、工事音、通行人の声、鳥や虫の声などが入ることがあります。観光PR、イベント動画、外観撮影、不動産動画、建設現場紹介などでは特に注意が必要です。
屋外の音は、その場では問題なさそうに聞こえても、収録データでは大きく入っていることがあります。風の音はマイクに直接当たると非常に目立ちます。
屋外で話し声を収録する場合は、風防を使う、風向きを考える、交通量の少ない時間を選ぶ、必要に応じて後からナレーションを入れるなどの方法があります。
6. マイク位置のズレ
音声収録では、マイクの種類だけでなく、位置が重要です。話し手から遠すぎると声が小さくなり、周囲の音を拾いやすくなります。近すぎると息や服の擦れ、音割れが起こる場合があります。
ピンマイクを使う場合は、服にこすれていないか、髪やアクセサリーに当たっていないかを確認しましょう。カメラ上のマイクだけで収録する場合は、話し手との距離が遠くなりすぎないように注意が必要です。
音はカメラに映りません。そのため、撮影前に確認しないと、編集段階で初めて問題に気づくことがあります。
7. 音割れ・小さすぎる音
音声が大きすぎると音割れが起こります。音割れした音は、編集で完全に戻すことが難しい場合があります。逆に、音が小さすぎると、後から音量を上げたときにノイズも一緒に大きくなります。
インタビューや説明動画では、撮影前に声の大きさを確認し、実際に話す音量でテスト収録しておくことが大切です。リハーサルでは小さく話していても、本番で急に大きく話す場合もあります。
音量の確認は、カメラや録音機のメーターだけでなく、イヤホンで実際に聞くことも重要です。
収録前に見直したい現場チェック
音声の失敗を減らすには、撮影当日の現場確認が大切です。高価なマイクを使っても、環境音や反響が大きい場所では聞き取りにくくなることがあります。
収録前には、以下の項目を確認しておきましょう。
| 確認項目 | チェック内容 | 対策例 |
|---|---|---|
| 空調・機械音 | 常に鳴っている音がないか | 一時停止、場所変更、撮影時間の調整 |
| 店内BGM | 声と重なっていないか、権利面に問題がないか | 収録時は停止、編集でBGMを追加 |
| 反響 | 声が響きすぎないか | 家具や布のある場所を選ぶ、マイクを近づける |
| 屋外音 | 風、車、人の声、工事音が入らないか | 時間帯変更、風防使用、ナレーション収録 |
| マイク位置 | 話し手との距離、服の擦れ、向き | テスト収録、位置調整、予備マイク |
| 声量差 | 複数人の声の大きさに差がないか | 席順調整、個別マイク、話し方の確認 |
| 音量 | 音割れや小さすぎる音がないか | 本番前に実際の声量で確認 |
撮影前の数分で確認できることでも、動画全体の聞き取りやすさに大きく影響します。特にインタビューや説明動画では、収録前の音チェックを軽視しないことが重要です。
撮影後の編集で直せる音・直しにくい音
音声編集では、ある程度のノイズ除去や音量調整ができます。ただし、すべての音をきれいに直せるわけではありません。
たとえば、一定の空調音や軽いノイズは調整できる場合があります。一方で、話し声と重なったBGM、強い風の音、音割れ、反響が強い声、複数人の声が混ざった音は、編集で自然に直すのが難しいことがあります。
| 音の状態 | 編集での対応 | 収録前の対策 |
|---|---|---|
| 一定の小さなノイズ | 軽減できる場合がある | 空調や機器音を事前確認 |
| 声が小さい | 音量調整できるがノイズも上がりやすい | マイクを近づける、声量確認 |
| 音割れ | 自然に戻すのが難しい | 本番声量でテスト収録 |
| BGMと声が重なっている | 分離が難しい場合がある | 収録時はBGMを止める |
| 強い風の音 | 軽減できても聞き取りに影響しやすい | 風防、場所変更、ナレーション対応 |
| 強い反響 | 完全な改善は難しい場合がある | 部屋選び、マイク位置、吸音対策 |
音声編集に頼る前提ではなく、収録時にできるだけ良い音で録ることが基本です。編集は補助であり、収録環境を整えることが最も重要です。
店舗紹介・企業PR・採用動画で音の考え方は変わる
動画の種類によって、重視すべき音は変わります。店舗紹介動画、企業PR動画、採用動画、インタビュー動画では、同じ音声収録でも注意点が異なります。
| 動画の種類 | 重視したい音 | 注意点 |
|---|---|---|
| 店舗紹介動画 | 店内の雰囲気、スタッフの声 | BGM、厨房音、接客音とのバランス |
| 企業PR動画 | ナレーション、代表メッセージ、現場音 | 聞き取りやすさと信頼感 |
| 採用動画 | 社員インタビュー、職場の環境音 | 自然さと聞き取りやすさの両立 |
| 商品紹介動画 | 操作音、ナレーション、効果音 | 説明と実演の音が重ならないようにする |
| イベント動画 | 会場音、登壇者の声、歓声 | 臨場感と内容理解のバランス |
| YouTube動画 | 話し声、BGM、効果音 | 長く聞いても疲れにくい音量設計 |
店舗紹介動画では、店内の音を完全になくすよりも、雰囲気として活かす場面があります。一方で、インタビューやサービス説明では、話し声を優先する必要があります。
採用動画では、職場の自然な環境音を入れることでリアルな雰囲気が出ます。ただし、社員の話が聞き取りにくくなるほど環境音が大きい場合は、収録方法を見直す必要があります。
音声とテロップを組み合わせる考え方
動画は必ず音声ありで見られるとは限りません。スマートフォンで無音再生される場合や、移動中・職場・店舗内など音を出しにくい環境で見られることもあります。
そのため、音声だけで情報を伝えるのではなく、重要な内容はテロップでも補うことが大切です。特にSNS動画、広告動画、採用動画、サービス紹介動画では、音声とテロップの組み合わせが見やすさに関わります。
ただし、すべての話し言葉を文字にすると画面が読みにくくなります。テロップでは、要点、商品名、サービス名、数字、問い合わせにつながる情報などを整理して表示しましょう。
音声とテロップの役割は次のように分けると考えやすくなります。
- 音声:感情、雰囲気、人柄、詳しい説明を伝える
- テロップ:要点、固有名詞、重要情報、見逃してほしくない内容を補う
- BGM:動画全体の印象やテンポを整える
- 効果音:場面転換や操作感を補助する
音声とテロップを組み合わせることで、音が出せない環境でも内容が伝わりやすくなります。
動画制作会社に相談する前に整理したいこと
店舗・企業動画の音声収録をスムーズに進めるためには、撮影前に現場の情報を整理しておくことが役立ちます。制作会社に相談する際は、映像の希望だけでなく、音に関する条件も共有しておきましょう。
相談前に整理したい項目は以下の通りです。
- 撮影場所は店舗、オフィス、工場、屋外のどこか
- インタビューやナレーション収録があるか
- 出演者は何人か
- 撮影中に止められない機械音や空調音があるか
- 店内BGMや館内放送を止められるか
- 屋外撮影の場合、風や車の音が多い場所か
- 営業時間中に撮影するのか、営業時間外に撮影するのか
- 音声が重要な動画か、映像中心の動画か
- AI音声やナレーション収録も検討するか
- SNS用に音なしでも伝わる編集が必要か
音の条件を事前に共有しておくと、必要なマイク、収録方法、撮影時間、編集方針を検討しやすくなります。特にインタビューや採用動画では、音声の聞き取りやすさが動画の信頼感に直結します。
店舗・企業動画で避けたい音の失敗
映像だけを確認して音を聞いていない
撮影現場では、モニターで映像だけを見て満足してしまうことがあります。しかし、音は現場で確認しないと問題に気づきにくい要素です。撮影前には、テスト収録をイヤホンで確認しましょう。
店内BGMをそのまま入れてしまう
店内BGMは雰囲気づくりに役立つ一方で、声と重なると聞き取りにくくなります。また、公開動画にそのまま入れる場合は権利面の確認も必要です。説明やインタビューを収録する際は、できるだけBGMを止めるか音量を下げましょう。
編集で何とかなると思っている
音声編集で調整できることはありますが、音割れ、強い風、話し声と重なったBGM、強い反響は自然に直すのが難しい場合があります。撮影時にできるだけ良い音で録ることが大切です。
SNS視聴を想定していない
SNSでは音を出さずに動画を見る人もいます。音声だけで重要情報を伝えると、内容が伝わらない場合があります。SNS活用を考える場合は、テロップや画面構成も合わせて設計しましょう。
よくある質問
店舗紹介動画では店内BGMを入れたまま撮影してもよいですか?
雰囲気として使う場面もありますが、インタビューや説明を収録する場合は声と重なって聞き取りにくくなることがあります。また、公開動画に入る音楽は権利確認が必要になる場合があります。収録時は止めるか、編集でBGMを入れる方法が管理しやすくなります。
音声は編集で後からきれいにできますか?
一定のノイズや音量差は調整できる場合があります。ただし、音割れ、強い風の音、反響、BGMと重なった声は直しにくいことがあります。収録時に良い音で録ることが重要です。
採用動画では自然な職場音を入れた方がよいですか?
職場の雰囲気を伝えるために環境音を入れることはあります。ただし、社員の声が聞き取りにくくなるほど大きい音は避けた方が見やすくなります。自然さと聞き取りやすさのバランスが大切です。
屋外インタビューはできますか?
できますが、風、車、人の声、工事音などの影響を受けやすくなります。風防を使う、撮影場所や時間帯を選ぶ、必要に応じてナレーションにするなどの方法があります。
SNS動画は音声なしでも伝わるようにすべきですか?
音声ありで伝える設計も大切ですが、無音再生でも内容が分かるようにテロップや画面構成を整えると見やすくなります。特に広告や短尺動画では、音と文字の両方で伝える設計が向いています。
まとめ
店舗・企業動画で失敗しやすい“音”には、空調や機械音、店内BGM、反響、声量差、屋外の風、マイク位置のズレ、音割れなどがあります。これらは撮影後に編集で直せるものもありますが、収録時の状態が悪いと補いきれない場合があります。
動画制作では、映像の見た目だけでなく、音声の聞き取りやすさも重要です。特にインタビュー、採用動画、店舗紹介、企業PR、サービス説明では、話している内容が伝わるかどうかが動画の印象を大きく左右します。
撮影前には、空調やBGMを止められるか、反響しにくい場所を選べるか、屋外音を避けられるか、マイク位置を調整できるかを確認しておきましょう。また、SNSや広告で使う場合は、音声だけでなくテロップでも内容が伝わる設計にすることが大切です。
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