
動画の効果は「目的」から逆算して判断する
企業が動画制作を行った後、「効果があったのか」を判断する場面があります。そのとき、最初に見られやすいのが再生数です。もちろん再生数は分かりやすい指標ですが、再生数だけで動画の良し悪しを判断するのは危険です。
動画の目的は、企業によって異なります。認知を広げたいのか、サービス内容を理解してもらいたいのか、問い合わせを増やしたいのか、採用応募につなげたいのか、営業現場で説明をしやすくしたいのかによって、見るべき数値は変わります。
たとえば、広告動画では多くの人に見てもらうことが重要になる場合があります。一方で、採用動画やサービス紹介動画では、再生数が大きくなくても、求職者や見込み客がしっかり見て問い合わせや応募につながっていれば、役割を果たしていると考えられます。
動画の効果を判断する時は、再生数ではなく、動画を作った目的に対して何が変わったかを見ることが大切です。
この記事では、企業担当者向けに、動画公開後の効果判断と見直しの基本を解説します。
再生数だけで判断しない方がよい理由
再生数は、動画がどれだけ見られたかを知るための分かりやすい数値です。しかし、再生数が多いからといって、必ずしも成果につながっているとは限りません。
再生数が多くても、すぐに離脱されている場合は、内容が伝わっていない可能性があります。反対に、再生数は少なくても、最後まで見られていたり、問い合わせや採用応募につながっていたりする動画は、目的に合っている場合があります。
再生数だけで判断すると、次のような見落としが起こりやすくなります。
- 動画の冒頭で離脱されていることに気づかない
- 視聴者が内容を理解しているか分からない
- 問い合わせや応募につながっているか見えない
- サムネイルだけが目立ち、動画内容とズレている可能性を見落とす
- 営業や採用現場で役立っている動画を低く評価してしまう
動画の効果を見る時は、再生数を入り口として確認しながら、視聴時間、視聴維持率、クリック、問い合わせ、応募、商談での反応なども合わせて見ることが重要です。
目的別に見るべき動画の指標
動画の効果を判断するには、目的別に見る指標を分けると整理しやすくなります。すべての動画を同じ基準で評価すると、目的に合わない判断になってしまうことがあります。
認知を広げたい場合
認知拡大を目的にした動画では、まずどれだけ多くの人に届いたかを確認します。企業PR動画、SNS動画、広告動画、イベント告知動画などは、最初の接点を作る役割があります。
見るべき指標の例は次の通りです。
- 表示回数
- 再生回数
- リーチ
- 視聴率
- SNSでの保存・シェア・コメント
ただし、認知目的でも、ただ多く見られればよいわけではありません。狙った地域、業種、ターゲット層に届いているかを確認することが大切です。広島の企業であれば、地域性や商圏に合った視聴者へ届いているかも見直しのポイントになります。
内容理解を深めたい場合
サービス紹介動画、商品紹介動画、会社紹介動画、採用説明動画などでは、視聴者が内容を理解できたかが重要です。この場合、再生数よりも、どのくらい見続けられたかを見る必要があります。
見るべき指標の例は次の通りです。
- 平均視聴時間
- 視聴維持率
- 完了率
- 離脱が多い箇所
- 動画後のページ閲覧
たとえば、1分の動画で冒頭数秒だけ見られて離脱されている場合、最初の見せ方に課題があるかもしれません。逆に、最後まで見られている動画は、視聴者にとって内容が分かりやすい可能性があります。
問い合わせや購入につなげたい場合
問い合わせや購入を目的にした動画では、動画を見た後の行動を確認する必要があります。再生されていても、問い合わせフォームや商品ページへの導線が弱いと、成果につながりにくくなります。
見るべき指標の例は次の通りです。
- 動画からWebサイトへのクリック数
- 問い合わせフォームへの遷移
- 資料請求
- 電話タップ
- 予約数
- 購入数
- 広告経由のコンバージョン
この場合、動画単体の数値だけでは判断しにくいことがあります。動画を掲載しているページ、問い合わせ導線、広告設定、アクセス解析も合わせて確認しましょう。
採用応募につなげたい場合
採用動画では、応募者の不安を減らし、会社理解を深めることが目的になります。再生数が大きく伸びなくても、応募前の理解や面接での会話に役立っていれば、採用導線の中で価値があります。
見るべき指標の例は次の通りです。
- 採用ページでの動画再生数
- 採用ページの滞在時間
- 応募フォームへの遷移
- 説明会予約数
- 応募者からの反応
- 面接前後の理解度
採用動画では、数値だけでなく、応募者や面接担当者からの定性的な反応も重要です。「動画を見て仕事内容が分かりやすかった」「職場の雰囲気が伝わった」といった声も、見直しの材料になります。
営業資料として使いたい場合
営業用の動画では、Web上の再生数だけでは効果を判断しにくいことがあります。商談前に送る、商談中に見せる、展示会で流す、提案資料に組み込むなど、営業現場での活用状況を見る必要があります。
見るべき項目の例は次の通りです。
- 営業担当者が実際に使っているか
- 商談前の理解促進に役立っているか
- 説明時間の短縮につながっているか
- 顧客からの質問が具体的になっているか
- 展示会やセミナーで足を止めてもらえているか
営業動画では、管理画面上の数字だけではなく、現場の声を集めることが大切です。営業担当者が使いにくいと感じている場合は、尺、構成、テロップ、説明順を見直す必要があります。
動画公開後に確認したい基本指標
動画の目的によって見るべき数値は変わりますが、企業担当者がまず確認しやすい基本指標があります。これらを組み合わせることで、動画のどこに課題があるかを把握しやすくなります。
| 指標 | 分かること | 見直しのヒント |
|---|---|---|
| 表示回数 | どれだけ表示されたか | そもそも見られる機会が足りているか |
| 再生回数 | どれだけ再生されたか | サムネイルや掲載場所に課題がないか |
| クリック率 | 表示された人がどれだけ再生・クリックしたか | タイトル、サムネイル、冒頭訴求を見直す |
| 平均視聴時間 | どのくらい見続けられたか | 内容が長すぎないか、構成が分かりにくくないか |
| 視聴維持率 | どこで離脱されているか | 離脱箇所の説明、テンポ、情報量を見直す |
| 完了率 | 最後まで見られているか | 尺や締め方、CTAの位置を見直す |
| クリック数 | 次のページへ進んだか | 動画後の導線や説明欄を見直す |
| 問い合わせ・応募 | 事業上の成果につながったか | 動画とフォーム、ページ構成を合わせて確認する |
指標は単独で見るより、組み合わせて判断することが重要です。たとえば、クリック率は高いのに視聴時間が短い場合は、見せ方と内容にズレがあるかもしれません。視聴維持率は高いのに問い合わせが少ない場合は、動画後の導線に課題がある可能性があります。
指標を見た後に改善するポイント
効果測定の目的は、数字を眺めることではありません。数字を見て、次に何を改善するかを決めることです。
動画公開後に見直したいポイントは次の通りです。
冒頭の見せ方
動画の冒頭で離脱が多い場合は、最初の数秒で何の動画か伝わっていない可能性があります。サービス紹介、商品紹介、採用動画では、冒頭で視聴者に関係のある課題や見どころを示すと、見続けてもらいやすくなります。
動画の尺
最後まで見られていない場合は、動画が長すぎる、説明が多すぎる、同じようなカットが続いている可能性があります。本編動画とは別に、短尺版や要点版を作る方法もあります。
サムネイルとタイトル
表示されているのに再生されない場合は、サムネイルやタイトルが視聴者に合っていないかもしれません。誰向けの動画か、何が分かる動画かが伝わるように調整しましょう。
問い合わせ導線
動画は見られているのに問い合わせにつながらない場合は、動画の最後や掲載ページの導線を見直す必要があります。問い合わせ、資料請求、予約、採用応募など、次に取ってほしい行動を分かりやすく示しましょう。
掲載場所
動画自体に問題がなくても、掲載場所が合っていない場合があります。採用動画は採用ページや求人媒体、商品紹介動画は商品ページ、サービス紹介動画はサービスページに置くなど、視聴者の検討段階に合わせた配置が大切です。
動画の効果を社内で共有する時の整理方法
動画の効果を社内で共有する際は、数字をそのまま並べるだけでは伝わりにくいことがあります。特に、経営層や営業部門、採用部門に共有する場合は、目的に対してどうだったのかを整理することが大切です。
社内共有では、以下のようにまとめると分かりやすくなります。
- 動画の目的
- 公開場所
- 確認期間
- 主な数値
- 良かった点
- 課題が見えた点
- 次回改善する内容
- 営業・採用・問い合わせへの影響
たとえば、「再生数が何回でした」だけではなく、「採用ページでの滞在時間が伸びた」「商談前に送ると説明がスムーズになった」「SNSでは短尺版の反応が良かった」といった形で、事業に近い言葉に置き換えると伝わりやすくなります。
動画制作会社に相談する前に整理したいこと
動画の効果を見直したうえで次回制作を相談する場合は、単に「もっと再生される動画を作りたい」と伝えるよりも、現在の課題を整理しておくことが重要です。
相談前に整理したい項目は以下の通りです。
- 動画を作った目的
- 公開した媒体
- 確認できている数値
- 再生数、視聴時間、クリック、問い合わせなどの状況
- どの部分で離脱が多いか
- 問い合わせや応募につながっているか
- 営業や採用現場で使われているか
- 次回改善したい点
- 短尺版や広告用動画が必要か
- WebサイトやSNS導線も見直す必要があるか
動画制作会社に相談する際は、撮影や編集の改善だけでなく、掲載場所、サムネイル、タイトル、説明文、問い合わせ導線も含めて相談すると、より実務的な改善につながりやすくなります。
動画効果測定で避けたい失敗
再生数だけで成功・失敗を決める
再生数は重要な指標ですが、目的によっては最重要とは限りません。問い合わせ、採用応募、商談理解、ブランド認知など、動画の目的に合わせて判断することが大切です。
数値を見ても改善につなげていない
効果測定は、次の改善につなげて初めて意味があります。冒頭、尺、サムネイル、掲載場所、問い合わせ導線など、見直す項目を決めましょう。
媒体ごとの違いを無視している
YouTube、Instagram、TikTok、Webサイト、広告では、視聴者の状態や見られ方が違います。同じ動画でも、媒体によって評価の見方を変える必要があります。
問い合わせ導線を確認していない
動画が見られていても、問い合わせフォームや採用ページへの導線が弱いと行動につながりにくくなります。動画単体ではなく、ページ全体の流れも確認しましょう。
よくある質問
動画の効果は何を見れば判断できますか?
動画の目的によって変わります。認知目的なら表示回数や再生数、理解促進なら平均視聴時間や視聴維持率、問い合わせ目的ならクリックやフォーム送信、採用目的なら応募や面接前の反応を確認します。
再生数が少ない動画は失敗ですか?
必ずしも失敗とは限りません。ターゲットが限られるBtoB動画、採用動画、営業資料用動画では、再生数が少なくても、必要な人に見られて行動につながっていれば役割を果たしている場合があります。
視聴維持率が低い場合はどう改善すればよいですか?
冒頭で何の動画か伝える、不要な説明を削る、テンポを上げる、テロップで要点を補う、短尺版を作るなどの改善が考えられます。どの部分で離脱しているかを確認して、該当箇所を見直しましょう。
問い合わせにつながっているかはどう確認しますか?
動画からWebサイトへのクリック、問い合わせフォームへの遷移、電話タップ、資料請求、予約数などを確認します。可能であれば、動画掲載ページや広告、Google Analyticsなどと連携して見直すと分かりやすくなります。
動画の効果が分からない場合、次回制作はどう進めるべきですか?
まず、動画の目的と公開場所を整理しましょう。そのうえで、再生数、視聴時間、クリック、問い合わせ、営業・採用現場での反応を確認します。数値が取れていない場合は、次回制作時に効果測定しやすい導線も設計しておくことが大切です。
まとめ
動画の効果を判断する時は、再生数だけを見るのではなく、動画を作った目的から逆算することが大切です。認知を広げたいのか、内容を理解してもらいたいのか、問い合わせや採用応募につなげたいのかによって、見るべき指標は変わります。
表示回数、再生数、クリック率、平均視聴時間、視聴維持率、完了率、問い合わせ数、応募数、営業現場での反応などを組み合わせて見ることで、動画の役割を判断しやすくなります。
また、効果測定は数字を見るだけで終わらせず、次回の改善につなげることが重要です。冒頭の見せ方、動画の尺、サムネイル、掲載場所、問い合わせ導線を見直すことで、動画の活用精度を高めやすくなります。
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